2020/08/08
治ったと思ってたら大間違い、本当は怖い五十肩!

ある日突然、何もしていないのに腕を動かした時に肩に鋭い痛みが走ることありませんか?
それは実は四十肩・五十肩の典型的な発症パターンです。
四十肩・五十肩とは「肩関節の周囲が痛む症状」の総称で、肩の痛みを発生させる疾病が複数存在します。

具体的な疾病例は以下のとおりです。

肩関節腱板炎
肩関節には腕を上げる際に働く【腱板】と呼ばれるインナーマッスル(筋肉)が付着しています。加齢とともにこのインナーマッスルが摩耗して炎症を起こした状態が肩関節腱板炎です(単に腱板損傷ともいわれる場合もあります)。この肩関節腱板炎は四十肩・五十肩の中でも大きな割合を占めているといわれています。

肩峰下滑液包炎(けんぽうかかつえきほうえん) 
肩関節の動きの自由度を担保するために筋肉と骨の間には、第2肩関節と呼ばれる肩峰下滑液包という袋が存在しています。この袋の中には滑液とよばれる液体が入っていて、肩関節の複雑な動きに対応する仕組みになっています。この肩峰下滑液包が何らかの原因で炎症を起こした状態を指します。
肩の痛みに加えて腕のだるさや夜間の痛み(夜間痛といいます)が発生する場合もあり、腕を横に上げたときに痛みを感じやすくなります。

上腕二頭筋長頭腱炎
もっともメジャーな筋肉!といっても過言ではない、二の腕の力こぶをつくる時に固くなる筋肉が上腕二頭筋です。この上腕二頭筋の腱は上腕骨の通り道(結節間溝)を通って肩関節に付着しています。この通り道である上腕骨と上腕二頭筋の腱がこすれて炎症を起こした状態を上腕二頭筋長頭腱炎といいます。主に、腕を上げたり、ひねったりするとズキっとした痛みを感じます。

これらの疾病のほかにも、烏口突起炎(うこうとっきえん)、不安定性肩関節炎、石灰化沈着腱板炎などの疾病が原因となり痛みが発生している状態がいわゆる四十肩・五十肩といわれます。

肩関節周囲炎は中年以降に発症することが特徴です。40代で発症した場合は四十肩、50代で発症した場合は五十肩と呼び、呼び名が変わりますが同じ病気です。全人口の2-5%がかかるとされており、特に40歳から60歳の女性に多いとされています。また糖尿病の人は五十肩になりやすく、10%近く頻度が増加します。甲状腺疾患や自己免疫性疾患とも関連していて、肉体労働者よりもデスクワークに従事する人に多いとの報告もあります。
ほとんどが片側の肩のみに症状があらわれます。その後、肩を動かすときに、痛みが二の腕や手先に伝わるようになります。しびれをともなうこともあり、眠れないほどの痛みが生じます。これは肩関節の炎症によるもので、急激ないたみは、数日間でおさまります。
急性期の痛みが治まるとともに、鋭い痛みから鈍い痛みへと変化し、肩を動かせる範囲がだんだん狭くなっていくことがあります。日常生活では結髪、洗髪、洗体、更衣動作が障害され、レクリエーション、スポーツ活動も制限されます。特に肩を上げたり、後ろに回す動きが困難になります。これを拘縮といいます。痛みのために、肩の筋肉を動かさないでいると、組織の癒着が起こり、さらに動かなくなって治療が長引きます。
年齢とともに肩の部分にある関節を覆う膜や骨同士を結びつける人体の柔軟性が低下する事で起こると考えれています。また上腕部の筋肉と骨をつなぐ腱板が加齢に伴い変性し、炎症を起こすことも原因といえます。肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨で支えられ、肩を大きく動かすために肩甲骨関節窩が小さく上腕骨頭のはまりが浅い。骨だけでは構造的に不安定なところを関節包や発達した腱板が強度を高めている。そのため肩の酷使によって炎症や損傷が起こりやすく、痛み、可動域の制限が起こると考えられる。また関節の炎症は肩峰下の滑液包や関節周囲の筋肉に広がることがあり、このような肩関節周囲炎が狭義の五十肩と呼ばれます。
四十肩、五十肩は、痛みの強い「急性期」と、痛みは落ち着いているが思うように肩が動かせない「慢性期」、痛みが改善する「回復期」に分けられ、ほとんどの場合、経過と共に痛みは改善していきます。 
■急性期
1)鈍痛
肩のあたりが重苦しい感じ
肩の関節がピリッと痛む

2)感覚異常
肩周りの感覚が鈍くなってくる
腕に違和感を感じる
首や肩のあたりに張りを感じる

3)疼痛
ズキズキと、うずくような痛みがある
肩を動かす際に痛みを感じる
朝晩に痛みが強くなってくる

4)夜間時痛・安静時痛
動いても痛いし、何もしなくても痛い
夜寝る時に痛みがあり寝つけない、痛みで目が覚める

■慢性期
・夜間時痛、安静時痛は軽くなる
・過度に動かしたときに、強いつっぱり感がある
・急性期の痛みにより、動かさない状態が続くことで関節が硬くなり、動かせる範囲が狭くなる

■回復期
・徐々に痛みが改善し、動かせる範囲も広くなる
・動かしても痛みが出なくなる

大切なのは急性期から慢性期の期間をいかに短くするかで最終的な治療期間が決まります。
 
四十肩、五十肩と肩こりはどのように違うのでしょうか?
簡単に説明すると肩こりは「筋肉疲労」、四十肩や五十肩は「炎症」の状態です。
一般的な肩こりは筋肉の緊張からくる、血液循環の悪化が原因。習慣化した姿勢の悪さや、運動不足、ストレスにより筋肉疲労がおこり、張りや痛みを引き起こします。
一方、四十肩、五十肩は老化などにより、肩関節をとりまく関節包や腱板に炎症が起こる事で痛みが生じると言われています。その為年齢の若い方より、中年以降に発症する事が多いのです。

肩こりと四十肩、五十肩では対処の仕方が異なる場合があります。よく「五十肩は放っておけばいつか治る」といわれますが、はたして本当なのでしょうか? 平均して1〜2年で治りますが、なかには何年も痛みの残る人や、痛みが改善しても可動域の制限が残ったままの人もいます。誤った判断で痛みを放置せずできるだけ早めに受診して、適切な治療を受けることが大切です。

四十肩・五十肩は、血行や代謝をアップさせることで、治癒を促し、痛みを緩和させることが期待できます。そのため、血行を促す、生姜、長ネギ、シナモン、葛などの食材がおすすめです。生ものや冷たいものは控えましょう。水分代謝を滞らせるもち米やギンナンなども控えた方がよいでしょう。水分代謝を促すためには、はと麦茶や小豆茶などがおすすめです。

日々のカンタン体操や食べ物に加えて、漢方薬を取り入れることもおすすめです。大人になるにしたがって、長時間のデスクワーク、人間関係のストレスなど、「気」「血(けつ)」のめぐりを悪くする要因が増えてきます。漢方薬では、「気」「血(けつ)」の不足を補い、肩こりや四十肩・五十肩に効果があるものもあります。ぜひ、試してみてください。

急性期の痛みの強い時期には荷物や肩を上げる動作で肩に負担をかけないようにし、比較的安静を保たせる。痛みが落ち着いてきたら痛みのない範囲で動かすように指導する。慢性期や回復期では痛みの状態を確認しながら、関節の拘縮を改善する運動療法を指導して積極的に肩を動かすようにさせる。